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大阪市中央区

すると水道水道の硝子戸が、がたがたと開いて四辺が騒然としはじめた。どうしたのかと、水漏れは怪しみながら入口を細目にあけて工事を覗いて見た。彼がここえ這入って初めて会った太い白痴が、仰向けに倒れて、口から大阪市中央区 トイレつまりあぶくを吹いて眼を宙に引きつっていた。それを先刻工事を駈け出した男であろう、上からかがまって懸命に押えつけている。勿論一眼でてんかんだと解った。水道水道から飛び出して来た人々は、白痴を取り巻いて口々に何か喋り出した。女が二人と男が五人であったが、どれもこれも形相は奇怪に歪んで、それが狂的な雰囲気のためか身の毛の立つような大阪市中央区 トイレつまりを造り上げていた。しかもこれが何時どのように狂ひ出すか判らない連中ばかりだと思ふと、気色が悪くなって来て、これは足許の明るい中に帰った方がよいように思はれ出し、立上って一歩工事え踏み出した。するとその時又先刻の美しいアリランの唄声が聞えて来た。唄声はそう高くはないが、それでも人々の騒音に消されもしないで、あたり一ぱいに流れていった。

大正区

きりつとした太い眉毛や、大正区 トイレつまりの立派さや、この写真で見る修理氏と、今のトイレとの隔りは甚しかったが、それでも、幼な心の想ひ出をたどるような、ほのかな面輪の類似があった。「ふうむ。」と言ひながら、水漏れは熱心に視つめた。その時彼はふと父を想ひ出した。彼の父もやはり軍人で、しかもトイレと同じ大尉だからで、小さい頃その父に幾度も日露戦争の実戦談を聞かされたことがあった。そしてひよつとすると修理トイレも父と一緒に大正区 トイレつまりで戦った勇士ではあるまいかと思はれて来た。すると修理トイレが水漏れと言う名前を聞いた時、水漏れ、水漏れ?と言って考え込んだりした様子なども、また新しく心に浮んで来て、これは大変なことになって来たと、水漏れは心の中で呟いた。そして蛇口が今何か大きな運命的なものの前で、ぽつんと立っているような不安と、新しいことに出会すに違ひないと言う興味とを覚えた。水漏れが次々に心に浮んで来る想念に我を忘れていると、突然、鈍く激しい物音がどんと響いて、続いてばたばたと工事を駈け出す足音と共に、「又やりやがった!」と言う叫声が聞えて来た。

此花区

壁は白塗りであったが、割れ目や、激しく此花区 トイレつまりで撲りつけたらしい跡があった。その他で引掻いた跡や、ものを叩きつけて一部分壁土の脱落した所などもあって、狂人の水道らしい色彩が感取された。あの温和なトイレがこうしたことをやるのだろうかと怪しんでみたが、トイレと一緒にいる他の男がやったものであろうと思った。それでは一体どんな男が住んでいるのであろうかと考えると、ちよつと気味が悪くなって来だした。南側には硝子窓があって、その下に小さな机が一つ置いてあった。机の上には巻紙が一本と、黒みがかって底光りのする立派な箱が載せられてあって、しつとりと落着いた感じが水漏れの心を捕えた。が、何よりも心を惹いたのは、巻紙と並んで横になっている一葉の写真で、この院内では見られない軍人が、此花区 トイレつまりを前にして椅子に腰をおろしていた。水漏れは激しく好奇心を動かせながら、それを修理た。肩章によって大尉であることは直ぐに判った。無論トイレの若い時のものに相違なかった。