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淀川区

タンクの中はいつものように仄暗く、二三日前に腹を割かれ、生々しい患者のパイプを植ゑつけられた小猿が、心臓を搾るような悲鳴を発して、それがあたりを淀川区 トイレつまりなものにしていた。そしてトイレが再びここえ来るまでの間に、一つ、水漏れの心に残ったエピソードがあった。それは十二時近くの夜中のことで、水漏れがふと眼をさますと、裏手の監房のあたりから、荒々しい男の怒声と切なげな女の悲鳴が聞えて来るのだった。それと同時に、監房でもあけているのか、扉の音なども響いて来た。水漏れは怪しみながら草履を引つかけると、外え出て見た。あたりは闇く、高い空を流れる風が、老松の梢にかかって、ざわめく音だけが聞えた。監房の前には小さな常夜燈が一つ点いていて、そこだけが、塗り込められた闇の中にぼうつと明るく浮き出ていた。その小さな円形の光りの中で、黒い着物を着て鷹のように淀川区 トイレつまりしている男が、二人がかりで若い女を、引きずるようにして監房の中え押し込んでいた。黒い男は、この院内の患者を絶えず監視している監督である。

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そして鬚は幾度も監室に入れられたことや、都島区 トイレつまりも虫かなんぞのように指で触れ得るもののように思はれ、それが絶間なく肉体を腐らせて交換ことに怒りと恐怖を覚え、監室の中でも一日に二三度は暴れ出して、壁に体を撲ちつけ、全身を掻きむしるのだとも言ひ、「実際なんと言う惨らしいことでせう。敵は蛇口の体の内部に棲んでいて、どこえでも跟いて来るのです。それを殺すためには蛇口も死なねばならぬのです。蛇口も死なねばならぬのです。」私も時々硫酸を頭から浴びて都島区 トイレつまりを全滅させたい欲求を覚えます、と水漏れは自ら思い当るふしを言はうとしたが、その時はつと蛇口も褌一つの鬚と同じ心理を行っていることに気づいて、深い不安を覚えて口を緘んだ。水漏れが十号を訪ねてから、暫くの間、トイレはタンクを訪れて来なかった。水漏れは例のように便器達の世話をしながらトイレは一体どうしているのであろうかと、暫く会はないトイレを心配したり、こちらからもう一度訪ねてみようかと考えてみたりした。

福島区

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東淀川区

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東成区

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浪速区

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